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コロナ禍におけるMLB(Major League Baseball)

| 科学・趣味・その他編 | 2020年8月28日 |

 米国では、コロナ禍においても各主要プロスポーツは期間短縮や無観客など工夫を凝らしながらシーズンに突入あるいは再開している。

 その中で、MLBについて解説したい。その理由は、もともと米国の各主要プロスポーツの中で最も労使(オーナー側と選手側)の対立が激しいため、どうやって「折り合い」をつけたかも興味があるからである。

 MLBについては、よく大富豪(オーナー側)と富豪(選手側)の対立と揶揄されるように、労使の「世間から遊離した」対立が話題になる。選手の年棒も年々急上昇し、いまでは年棒40億円を超える選手も何人かいて、これも富豪(選手)のプレーを一般庶民が高い入場料を支払って見ていると揶揄される。

 さてMLBは30チーム(うち1つはカナダのトロント)あり、National League とAmerican Leagueがそれぞれ東部、中部、西部の3地区に分かれ(つまり全部で6地区)、通常は半年(26週間)で162試合も戦う過酷なシーズンを送る。その後はすぐに約1か月のポスト・シーズンに入り、ワールド・チャンピオンが決まる長丁場である。

 高騰する選手年棒を支えているのは、これも天井知らずの放映権料で、全米放映分は2014~2021年の8年間で総額120億ドル(1兆2700億円)をESPN、FOX、TBS(日本のTBSとは違う)が支払っている。これは全30球団に均等配分されるため、単純計算で各球団は毎シーズン5000万ドル(53億円)を受け取る。年棒総額が最低のピッツバーグ・パイレーツなどは、これだけで年棒総額を賄えてしまうが、年棒総額が最高のNYヤンキースは2億4000万ドル(254億円)で、ロサンゼルス・ドジャース、ヒューストン・アストロズ、シカゴ・カブスと続く。

 また2022年以降は、ESPNがすでに7年51億ドル(5400億円)で合意しており、これは単純比較で現在の放映権料の40%増しとなる。

 各球団が受け取る放映権料はもう1つあり、各地方放送局、ラジオ、ケーブルテレビから受け取る放映権料は分配せず、各球団が全額受けとる。この地方放映権料の方が大きく、最高のドジャースは年間3億ドル近い。大都市に本拠地を置く球団の年棒総額が大きいのは、人口が多いため視聴者も多く放映権料も高騰するからである。

 また今季から全球団のユニフォームを提供するナイキが、10年間で10億ドル(1060億円)を提供する。

 2019年のMLB総収入は史上最高の107億ドル(1兆1340億円)もあり(日本プロや野球は1800億円くらい)、年棒総額が47億ドル(4980億円)であった。まさに大富豪(オーナー側)と富豪(選手側)が大金を分捕り合う構造である。

 この状態で2020年シーズンはコロナウイルスに襲われ春に開幕できなくなった。さすがに試合ができないと放映権料も選手年棒も支払われない。そこで大富豪(オーナー側)も富豪(選手側)も何とか開幕させ、さらにその減った収入をどう分捕り合うかのバトルが繰り広げられた。

 とりあえず合意した内容は、7月24日から9月28日の66日間で60試合も行い、さらにすぐにポスト・シーズンを16球団に拡大して(通常は10球団)ワールド・チャンピオンを決めるという過激なスケジュールとなった。

 当然に無観客であるが、これはMLB収入の大半は放映権料であるため大した問題ではない。ただネット裏の空席にファンの写真をパネルにして掲げる(テレビに映る)権利を、1席1万ドルで売り出した球団もある。

 肝心の年棒は(たぶん放映権料も)開催した試合の案分となった。つまり162試合に支払われる年棒の60試合分(約37%)である。またコロナ対策は、選手やスタッフに感染者が出ると、何試合か中止する(順延する)だけとなった。

 さらに移動時間を節約するため両リーグの3地区を統合し、同じ地区内だけでシーズンを戦うことにした。とにかく試合を行わなければ大富豪も富豪も困るからである。

 いざシーズンが始まると、選手やスタッフにコロナ感染者が結構出ているにも関わらず、短期間の中止だけで強行している。ただセントルイス・カージナルスは開幕直後にコロナ感染が拡大し15日間も試合が出来なかったため、現在は連日ダブルヘッダーを含む「殺人的スケジュール」を戦っている。ベンチ入りメンバーは(年棒総額を上げないため)26人に据え置かれたままのため、年棒が高い先発投手は5人のままで比較的年棒の安いリリーフ投手だけで戦う試合も増えている。

 今後も何が起こっても、このままシーズンが強行されていくのであろう。

2020年8月28日 

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