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闇株新聞

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ソフトバンク・グループのMBOは可能なのか?

| 個別企業編 | ソフトバンク | 2020年9月18日 |

 ソフトバンク・グループ(以下、SBG)の孫社長は、常に企業価値と比べて自社株の価格が低いと不満を持っているようである。そこで常にMBO(後述)のうわさが絶えず、実際に本年3月の株価急落時には(3月19日に一時2609円)、30億ドル超のSBG株を取得したとされるポール・シンガー率いるエリオット・マネジメントが共同でMBOを持ち掛けたはずである。

 ここでMBO(Management Buyout)とはLBO(Leveraged Buyout)の一形態で、どちらも会社資産を担保に巨額資金を調達してTOBを経て全株を取得し非上場化するものである。その後は会社資産を大胆に売却して調達した外部負債を返済するが、議決権はすべてLBOを仕掛けたグループが保有し、再上場時に巨額利益が期待できる。会社の経営陣が中心になって仕掛けるLBOをMBOというが、同じような意味である。

 会社資産を担保に巨額資金を調達するカラクリは、買収のために設立した特別目的会社にハゲタカファンドなどが一部(最大で30%くらい)を出資して議決権をすべて取得し、残る7割の外部負債は非公開後にその会社に押し付けて返済させる。従ってハゲタカファンドだけが「濡れ手に粟」の巨額収益を上げることになる。

 「非上場化し株価に影響されない経営を行い企業価値の向上を図る」とのLBOを正当化する決まり文句はウソッパチで、ハゲタカファンドの目的は「大儲けする」ためだけである。ところが最近はいくつかの日本企業が「物言う株主に攻撃されている」などの理由で経営陣が保身に走り、「もっとえげつないハゲタカファンド」にLBOで経営権を売り渡し、結果は借金と苛酷なリストラを強いられ、再上場してもハゲタカファンドが巨額利益を独占するだけである。だから本誌はハゲタカファンドが仕掛けるLBOには大変に批判的である。

 それではSBGのMBOはどうなのか? ハゲタカファンドに主導権を握られず孫社長が主体となってSBGを「丸ごと」取得したのちに非上場化して「好き勝手に使う」のであれば、反対する理由はない。

 ただそれはあくまでも投資会社となったSBGのことであり、携帯電話会社のソフトバンクや、米国電話会社のTモバイル(スプリントをTモバイルと株式交換して持分会社になった)のようなインフラ会社や、(50%を保有している)PayPayのような資金決済など個人情報の宝庫であり、かつ情報漏洩が常に疑われるサービスなどは「完全に」切り離しておかなければならない。これらのインフラ会社や決済サービス会社は機密保持のためにも「個人保有の会社」というわけにはいかない。

 その代わりアリババ株式やビジョンファンド(AVF)など株式ポートフォリオは「どうぞご自由に」となる。

 また負債のうち、金融機関を通じて個人に販売している劣後債とか、携帯電話会社として募集した社債などは、やはりキッチリ返済しておかなければならない。

 それではハゲタカファンドに主導権を握られず、孫社長が主体となって行うMBOとは、どんなイメージとなるのか?

 まずソフトバンクの現在の発行済み株数は20.9億株、昨日(9月17日)の終値は6617円で、時価総額は13.8兆円と22.9兆円のトヨタに次いで第2位である。このうち孫社長自身が4.4億株(21.2%)、自己株が(3月以降に1兆円取得済みとして)2.1億株であるため、実際にTOBで取得する株数は14.4億株となる。TOBで全株取得できなくても3分の2以上を確保すれば特別決議で定款変更でき、額面変更などで全株取得は可能である。

 TOB価格は、2019年6月の株式分割後の最高値は8月4日の7077円であるため、やはり「株式市場への手切れ金」として8000円程度は必要である、14.4億株なら11.5兆円になる。

 さすがにTOB以前にSBGの資産を使うわけにはいかないため(過去には2007年にカーチスが似たようなことをやっているがお咎めはなかった)、とりあえず孫社長は自力で11.5兆円を調達しなければならない。孫社長の自社株があるため2兆円ほどの自己資金と9.5兆円ほどの借り入れあたりが適当である。

 本来なら欧米投資銀行がブリッジファイナンスやジャンク債発行でかき集めるが、SBGの保有資産を(TOB成功後に担保に入れることを条件に)みずほ銀行あたりが融資すれば(シンジケートローンを組めば)数千億円の利益が見込める。

 仮にTOBが成功したとしてSBGの2020年6月末の決算説明資料では(SBGの資料は都合よく書かれているが、ここは仮の話なのでそのまま利用するとして)、保有ポートフォリオが27.4兆円(うちアリババが15.6兆円)、手元流動性が3.4兆円、併せて30.8兆円の資産があることになっている。

 またSBG単体の有利子負債が9.8兆円であるため(単体ということは携帯電話会社のソフトバンクやTモバイルの負債が除かれているが、これらはTOB前に売却すると考えるならそれでもおかしくはない)、差し引きで21兆円の資産超過である。

 つまり資産売却で11.5兆円を返済しても、まだ10兆円近くが残り、その非公開化したSBGの議決権は100%孫社長が握る(ハゲタカファンドを排除できたとして)。

 こんな状態をハゲタカファンドが放っておくはずがない。仮にハゲタカファンドを完全に排除して孫社長のMBOが公表されたなら、その瞬間から「猛烈な争奪戦」が始まり、たぶん株価が吊り上がる。というより直近で38.6%を保有する外国人投資家が「TOB価格の引き上げ」を強く求めるはずである。

 世界のLBOの最高額は、長く1989年にKKRが取得したナビスコの300億ドルだったが、2007年に同じKKRがTXU(テキサス州最大の電力会社)を450億ドルで取得している(ただしその後の経営は振るわない)。

 SBGはざっとTXUの2倍以上のMBOとなる。いろいろ障害があるが、(やるなら)ぜひ日本勢だけで仕上げてもらいたいものである。

2020年9月18日

 

 

「ドコモ口座」の資金不正引き出しで感じる「言いようのない不気味さ」

| 個別企業編 | 個別企業編-その他 | 日本 | 2020年9月11日 |

 全国の地方銀行などでNTTドコモの電子決済サービス「ドコモ口座」を使った預金の不正引出し(正確には不正チャージ)が続出している。なかには「ドコモ口座」に登録していない個人の預金も引き出されており、被害総額は9月10日時点で、66口座、1800万円超である。まだ気がついていない被害者もいるはずである。

 その根本的原因はNTTドコモが9月9日になってしぶしぶ認めたように「ドコモ口座」登録の際の本人確認が厳格ではなく、事業拡大を優先したため安全対策が後回しになっていたことに尽きる。NTTドコモは10日に決済銀行に指定している35行の地方銀行との間で「新規登録」だけ当面止め、被害総額を「銀行と連携して」保証すると発表したが、根本的には何の解決にもなっていない。

 「ドコモ口座」の総登録者数は公表されておらず、銀行からのチャージが1か月上限30万円に設定されているといっても、ハッカー集団なら上限を外すことなど「朝飯前」である。

 今回はたまたまNTTドコモの「お粗末かつ安直な対応」が主原因ではあるものの、本件に関して表題にある「言いようのない不気味さ」を感じる理由が3つある。1つ目は「急拡大している決済サービス会社の中には、NTTドコモのようなお粗末かつ安直な対応がまだある可能性」、2つ目が「そこが大丈夫でも、安全の前提となる銀行口座と暗証番号が今回盗み出されていること」、そして3つ目が「日本の資金決済情報を含む個人情報が、すでに何か得体のしれない大きなものにゴッソリと抜き取られている可能性」である。

 この3つは相互に絡み合っており、同じ問題のような気もする。従ってここからは3ついっぺんに解説する。

 そもそも資金決済サービスの中でもキャッシュレス決済が急拡大した理由は、2019年10月から2020年6月まで中小規模事業者やコンビニなどフランチャイズ・チェーン店でキャッシュレス決済を行った際、購入金額の2%ないし5%のポイント還元を行うキャンペーンが「政府主導」で行われたからである。

 これは2019年10月1日からの消費増税による消費の落ち込みをカバーするため、当時(現在もまだそうであるが)官邸を牛耳っていた経済産業省の官邸官僚が主導したものである。

 このキャンペーン期間は終了しており、その後半はコロナウイルス拡大であまり騒がれなくなったが、その間にクレジットカード、デビットカード、QRコード決済系、交通系、流通系、通信系など各種キャッシュレス決済サービス会社が入り乱れて顧客拡大に走ることになった。その中でも自社ポイントの独自還元も含めて最も積極的だったのがソフトバンク系の(正確にはZホールディングス系の)PayPayである。

 PayPayはポイント還元キャンペーン開始以前の2018年12月にも「100億円あげちゃうキャンペーン」を行い、ここまで累計で1200億円もの赤字を出して230万の加盟店と3000万ユーザーをかき集めた。正常な「先行投資」の範囲を超えているような気がする。

 Zホールディングス傘下にはPayPayの他にヤフー、LINE、ZOZO、アスクルなどがあり、資金決済、コミュニケーション、購買、物流など「個人情報の宝庫」である。さらにユーザー数だけならLINEペイのほうが3880万とPayPayよりも多い。

ところがこのPayPayの技術はアプリ登録が4.5億人というインドのPaytmが提供しており、そのPaytmの親会社であるOne97の筆頭株主(25%保有)がアリババ系のAnt-Financialであり、さらにソフトバンク・グループが2017年にOne97に19億ドル出資している。

 このへんが3つの「言いようのない不気味さ」にも繋がっているため、さらに調査してまた報告したい。ちなみに退任したアリババの馬雲(ジャック・マー)会長は中国共産党員であると人民日報が最近になって伝えている。

2020年9月11日

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