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新たな段階に入った米中通商戦争

| 中央銀行・金融情勢・提言編 | 中国 | 日本 | 米国 | 2019年8月06日 |

 8月5日(日本時間6日早朝)のNY株式は767ドル安の25717ドルとなった。NYダウはFRBの利下げ期待から7月15日には27359ドルの史上最高値となり、7月30日も27198ドルと高値を維持していた。

 FRBは7月31日に予定通り政策金利(FF翌日物誘導金利)を0.25%引き下げて2.00~2.25%とし、2018年10月から開始していたFRBの保有資産縮小も予定を2か月前倒しして即時(7月末に)打ち切ると発表した。

 しかしパウエル議長は「金融緩和の長期化」については否定したため、同日のNYダウはまず333ドル安となった。

 さらに8月1日には、トランプ大統領が中国からの輸入品3000億ドルに10%の追加関税をかける(9月1日から)対中制裁第4弾の実施を発表した。今回の3000億ドルには携帯電話、ノートパソコン、ゲーム機などIT製品が多く含まれ日本を含む世界的なサプライチェーンへの影響が大きく、さらにアップルなど米国を代表する企業の製品も対象となり「米国企業の業績」にも影響が大きい。また今回は衣服など消費財が全体の4割を占め米国家計への影響も大きい。

 そのためNYダウは8月1日に281ドル安、8月2日に98ドル安となった。また8月2日には、米国経済の見通しを反映するはずの長期金利(10年国債利回り)が1.84%まで低下し、トランプ政権発足以来の低利回り(米国経済の見通しの悪化を反映?)となった。

 そして日本時間の8月5日には中国も反撃する。朝方に人民元の対ドル基準レートこそ1ドル=6.92元台に設定したが、日中は明らかに市場で元安を放置したため1ドル=7.02元まで下落し、11年ぶりの安値となった。

 米中貿易摩擦が始まる前の2018年1~4月は1ドル=6.3元前後だったため、米国の追加関税による負担増を人民元安で打ち消していることになる。しかし中国経済も疲弊しており、官民の負債総額もGDPの2.5倍を超える3500兆円規模になるため、純粋に中国から外貨が逃げ出している証拠にもなる。

 さらに中国政政府は同日、国営企業に対して米国産農産物の輸入を停止するように求めた。明らかに来年の大統領選挙をにらんで、トランプを支持する州へ打撃を与える目的である。

これらを受けて同日(8月5日)のNYダウは冒頭にも書いたように767ドル安となり、7月30日から「たった4営業日」で1481ドル(5.4%)も下落し、10年国債利回りも1.71%とさらに低下している。

 そして米国政府はついに同日夕方(日本時間6日の午前7時)、中国を「為替操作国」と認定し、今後はIMFなど国際機関も巻き込んで新たな制裁を打ち出すことになる。

 また同時点において人民元レートも1ドル=7.05元と続落しており、円も1ドル=105.60円まで円高になっているため、対人民元でも1元=14.80円と、本年4月の1元=16.70円台から大きく円高になっている。もちろん日本の輸出企業に対する影響も深刻なものとなってくる。

 さてこうやって並べてみると、明らかに中国政府の米国に対する姿勢が8月5日から「強硬」に転じており、米国もそれに合わせて「さらに強硬」となってくるはずである。

 つまり8月5日をもって、米中通商戦争も「新たな段階」「さらに強硬な政策が米中双方から打ち出される段階」に突入したことになり、それなりに身構えておく必要がある。

 その理由もある程度は説明できる。中国では習近平国家主席が中国共産党長老と顔を合わせる北戴河(ほくたいが)会議が8月3日から行われていた。これは非公式な会議ではあるが中国の基本戦略を決める(正確には習近平が中国共産党長老の許可を得る)重要な会議である。

 そこで「米国とは徹底的に戦え」という基本戦略となったはずである。中国共産党長老の中では保守派(強硬派)の代表だった李鵬元首相が先日亡くなっているが、江沢民を中心とする共産党長老全体の「意向」はやはり保守的(強硬)だったことになる。

 これは同時にデモが続く香港に対しても、中国人民軍の出動など強硬策がとられる可能性が高まったことになり、第2の天安門事件となる可能性まである。

 日本政府も8月2日に韓国を「ホワイト国」から外し輸出規制を強化したが、これは「北朝鮮にすり寄る危険な国・韓国」に対する当然かつ最低限の制裁でしかない。幸いこれまでのところでは「日本にいる妙に中国や韓国の肩を持つ不気味な勢力」からの反対の声も少ないが、まだまだ気を緩めてはならない。

 そして本日(8月6日)午前9時過ぎの日経平均は600円安の20119円となっている。

2019年8月6日 午前9時

吉本興業とは「化け物」のような会社である。

| 個別企業編 | 2019年7月26日 |

 吉本興業と所属タレント(お笑い芸人が多い)との「いざこざ」が連日報道を賑わせているが、それぞれの言動についてはあまり興味がないので改めて解説はしない。

 ただ考えれば考えるほど、吉本興業とは「化け物」のような会社であると感じる。

 なぜ「化け物」のような会社なのか?を順番に説明していきたい。また現在の正式社名は吉本興業ホールディングスであるが吉本興業で統一する。

 吉本興業の原型は100年以上も前の1912年に創業した、お笑い芸人のマネジメント会社である。そして現在も業界最大手の総合芸能マネジメント会社である。創業者は吉本吉兵衛、実質創業者はその妻の吉本せい、次いでせいの弟の林庄之助と続く。つまり吉本家、林家が吉本興業の創業家であるが、現在はほとんど関係が切れてしまっている。
 
 つまり現在の吉本興業には創業家の人物がいない。創業家がいないということは、創業から脈々と受け継がれてきた企業文化のようなもの途切れており、会社が1つにまとまることもない。つまり「背骨がない巨大動物」が芸能界を徘徊しているようなもので、ここが最初のポイントである。

 次に吉本興業は1961年から株式を東京証券取引所に上場させていたが、2010年2月に自ら上場を廃止している。当時の記録によると上場廃止直前には1万6000人(社)もの一般株主がいたようである。

 普通、上場企業が株式を上場廃止とするためには、経営陣やファンドなどが巨額資金を調達して、一般株主から「かなりのプレミアム」をつけてすべての株式を買い取る必要がある。つまり上場廃止となったその日から外部負債を返済するために厳しいリストラが必要となり、経営者は常にカネの心配をしなければならない。

 その一方で、一般般株主を含む株式市場から批判されたり監視されたりすることもなくなり、思い切った経営ができるはずである。

 ところが当時の吉本興業は、「うるさい」一般株主の株式を、「身内」であるテレビ局、電通、なぜかソフトバンクの子会社など32社がすべて買い取り、非上場会社となった。その時の中心となった人物は、なぜかソニー元社長・会長の出井伸之氏であった。

 上場会社は決算内容や日々企業活動を一切外部に発信する必要がなく、何よりも「最近うるさくなった」コンプライアンス重視とか、反社会勢力との関係とか、最低賃金とか、ブラック企業というイメージなど、誰にも批判されることがない。

 本来はその経営内容をチェックしなければならない32社の「身内」株主は、巨額資金を提供しておきながら吉本興業に対しては何も言えず、「持ちつ持たれつ」の関係を維持していることになる。

「金を出した者が口を出す」という株式市場のイロハが全く機能していないことになり、吉本興業は最初のポイントで書いたように創業者もいないため、たまたま「何かの拍子に」経営トップとなった人物が、「金の心配」もせずにコンプライアンス重視も、反社会勢力との関係も、最低賃金も、ブラック企業というイメージも全く気にせず、「わがもの顔」で経営していることになる。

 斜陽産業ならともかく、お笑い芸能という「それなりの大きな業界」で、こういう「化け物」のような会社ができてしまったことになる。これが2つ目のポイントである。

 わざわざ繰り返すまでもないが、芸能や興行関係では昔から反社会勢力が牛耳っており、そこに誕生した吉本興業という「化け物」のような会社が、いわば堂々と反社会勢力との関係を維持し、そこへ本来はその経営を監視すべき「株主」でもあるテレビ局などが陰に隠れ、利権を「分け合っている」構造にしか見えない」。

 吉本興業が上場廃止となった2010年2月から1年半後の2011年8月、大物所属タレントの島田紳助氏が「反社会勢力と親密な交際」を理由に突然に引退を表明するが、吉本興業がその時点でもまだ上場会社であったなら、さすがに大問題となっていたはずである。

 偶然かもしれないが、芸能界とテレビ業界が結託して吉本興業を上場廃止とし(テレビ局などがすべて資金の面倒を見た)、非上場会社会社となった吉本興業が代表して反社会勢力との関係を維持して、芸能界やテレビ局が共存しているともいえる。これが3つめの問題。

 つまり吉本興業とは、背骨がなく、全く資金なしで上場を廃止して勝手気ままな経営を続け、堂々と反社会性量との関係を維持して「株主」でもあるテレビ局などを逆に支配する「化け物」のような会社となる。

 ここまで書くと電通も似たようなものではないか?といわれそうであるが、電通は「まだ」上場会社であるため、従って新入社員の過労自殺などが社会問題となってしまった。

 電通もそれほど遠くない時期に「また同じような業界が資金を丸抱えする株式の非上場化」が行われるはずである。

2019年7月26日