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ポスト金正恩の北朝鮮情勢をどう考える?

| テロ・陰謀・超現象編 | 政治・政策提言 | 北朝鮮 | 歴史・宗教編 | 2020年5月02日 |

 金正恩の生死が不明となってから約3週間が経過した。昨日(5月1日)には工場の竣工式に出席したとの写真が公開されているが、肉声はなく影武者の(あるいは過去の写真である)可能性が強く、生存確認にはならない。世界の大部分では金正恩が以前の状態で復帰する可能性は限りなくゼロと考えられており、世界はすでに「ポスト金正恩」体制に向けて動きだしている。

 そこで今回は憶測をできる限り排除し、今後の北朝鮮情勢と日本の取るべき行動を考えてみたい。日本にとっては「コロナウイルス並みに」重要でありながら(コロナウイルスの初期段階と同じように)全く他人事で危機感が感じられないからである。

 まず現時点において金正恩死亡説(あるいは重篤で再起不能説)を明確に否定している国は、当の北朝鮮と韓国だけである。しかし北朝鮮ではすでに中国との国境が封鎖され、中国の人民解放軍が国境の町・丹東に集結しており「いざという時に出遅れないように」待ち構えている。この人民解放軍はもともと朝鮮族の多い北部戦区(旧・瀋陽軍区、江沢民派)なのか、中部戦区(首都北京警護、習近平派)なのかも重要であるが、現時点ではわからない。

 今一つ理解できないのが韓国・文在寅の動きである。文在寅が親北朝鮮であることは今更言うまでもないが、金正恩不在の中でリーダーシップをとって朝鮮半島統一に筋道をつけようとする動きが全くない。文在寅という男は、ひたすら金正恩に朝貢外交を続け朝鮮半島の「元首」を譲り、韓国の政治・経済体制まで北朝鮮型にして北朝鮮主導の朝鮮半島統一を目指す「想像以上に危険な男」と改めて認識する必要がある。

 その証拠に文在寅は中道派の朴クネ前大統領を長期間投獄して復活の芽を摘み、サムスンやロッテなど財閥のトップまで刑務所送りにしようと画策していた。また外交面でも必要以上に反日を強調し、いざという時の経済協力の可能性を自ら閉ざしている。

 つまり文在寅にとって重要であるのは、韓国人民でも韓国の政治・経済の発展でも日本など東アジアの共存関係でもなく、ひたすら金正恩への忠義だったことになる。だから決して金正恩が「消滅」していることは認めず、ポスト金正恩が決まると速やかに朝貢外交を再開することになる。4~5世紀ころの高句麗(北朝鮮)と百済・新羅(韓国)の関係を踏襲しているわけである。

 さて北朝鮮は金一族による王朝で、最初の「皇帝」である金日成は第二次世界大戦後になって「対日パルチザンの英雄」として登場した。実際はソビエトがモスクワに匿っていた33歳の若造を表に出しただけで、抗日パルチザンの英雄どころか鉄砲も撃ったことがなかったはずである。北朝鮮がそんな金日成でも生き残れたのは、ロシア・中国と米軍(韓国)の間の緩衝地である地理的要因と、もちろんソビエト仕込みの徹底的な恐怖政治のおかげで、肝心のソビエトが消滅したあともその地位を守り続けている「世界に残る数少ない王朝」である。

 「王朝」の定義は、トップ(皇帝)の座が血筋を受け継ぐ者にのみ継承されていくことである。そもそも「王朝」の本場である中国では、4000年以上の間に100近い王朝が出来上がっては消えていった(そのうち中国を統一した王朝はごく一部である)。

 そしてすべての王朝が消えていった最大の理由は、トップ(皇帝)の座が血筋を受け継ぐ者だけに継承されていくと、そのうち必ず愚帝や暴君が現れ、人民が反乱を起こして王朝が内部から崩壊していくからである。

 王朝の中には、愚帝や暴君の登場でとっくに崩壊した後も、宦官や外戚らが「その権威」を利用するだけのために王朝の仕組みを維持するケースもあるが、それもそんなに長く続くものではない。

 そして北朝鮮の金王朝は、その三代目にあたる金正恩という暴君が出たため、人民(特に軍部の)不満がたまり速やかに崩壊していくものと考える。金正恩後に王朝としての仕組みだけが維持される期間は大変に短いと考える。

 そして中国最後の王朝だった清が英国の謀略によりアヘンで内部から崩壊した後は(実は清王朝はアヘンが蔓延するまでは中国史上最高の王朝だったと考えるが)、西欧列強に「あっと」いう間に分割され消滅してしまった。

 日本は遠慮せず「金王朝崩壊後の北朝鮮の分割」に積極的に手を挙げるべきである。かつては朝鮮半島と満州は日本領であったが、西欧列強のようにただ搾取しただけでなく、朝鮮半島と満州の近代化に大いに尽力したはずである。

 遠慮することはない。

2020年5月2日

原油先物価格がマイナスになる怪現象

| 資源・商品市場編 | 2020年4月21日 |

4月20日のニューヨーク商品先物取引所(NYMEX)における原油先物取引で、期近物である5月限(ぎり)の清算価格が1バレル=マイナス37.63ドルとなった。

 つまり先物市場で原油を1バレル(159リットル)買うと、37.63ドル(約4000円)支払ってくれることになる。取引が最も多い中心限月である6月限(ぎり)の清算価格は1バレル=20.43ドルだった。

 最近になってOPECプラスが日量970万バレルの減産を取り決めたが、コロナウイルスによる経済低迷で日量2~3000万バレルの原油需要が世界で消滅しており、原油在庫が積み上がり価格下落が止まらない。

 それでもこれだけでは先物価格がマイナスになることは説明できない。カラクリはこうである。

 NYMEXにおける原油先物5月限の最終取引日は4月21日(つまり日本時間今夜)である。また先週末段階で未決済建玉が1億バレルあると言われていた。原油先物に限らずほとんどの商品先物取引では現物受け渡し決済が認められている。

 つまり原油先物の「買い手」は取引最終日までに反対決済するか、買いポジションに相当する原油を受け渡し決済することになる(この時は原油代金全額を支払わなければならない)。

 NYMEXで取引されている原油は軽質油のWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエイト)であるが、このWTIは生産量が少ないためNYMEXが決める「受け渡し適格原油」であれば受け渡し決済できる。各原油の価格差を調整する比率(Conversion Factor)も決められている。

 ここで問題は世界中で原油在庫が溢れかえっているため、受け渡し決済をするにもNYMEXが決める受け渡し場所(備蓄施設)が満杯で「受け渡し決済した原油を保管する場所がほとんどなくなっていた」ことである。

 先物取引の清算価格がマイナスになるということは、保管コストを差し引くと「買った原油の価値」がマイナスになってしまうということである。

 原油取引に限らず先物取引はすべて清算価格で証拠金を毎日再計算し、マイナスになるか維持率を割り込めば「翌朝の取引開始までに現金で精算」しなければならない。

 4月20日の原油先物取引では、取引開始前の時間外取引ですでに5月限の価格だけが15ドルを割り込み(6月限は24ドル台だった)、取引開始直後も5月限だけが昼頃に10ドルを割り込み(6月限は22ドル台)、午後2時にマイナスとなり2時半には一気にマイナス40ドルとなった。この30分間は保証金がマイナスとなった買いポジションの強制決済も加わりパニックとなった。

 単に5月限を買い建てていた投資家だけでなく、5月限買い・6月限売りのスプレッド・ポジションを組んでいた投資家なども「大やけど」を負ったはずで、本日(4月21日)の取引開始前でも大量の未払い保証金が発生しているはずである。逆にたまたま5月限を売り建てていた投資家は「何が何だかわからないうちに大きな利益」となったはずである。

 しかし受け渡し原油の保管場所を不足させたNYMEXにも多数の訴訟が提起されるはずで、何らかの救済措置を(清算価格やゼロ以下の取引価格をすべてゼロに修正するとか)検討せざるを得ないと思う。

2020年4月21日