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電波行政をめぐる総務省幹部の過剰接待問題を「重大な順番に」考える

| 政治・政策提言 | 日本 | 2021年3月13日 |

電波行政をめぐる総務省幹部の過剰接待問題を「重大な順番に」考える

 2月4日発売の週刊文春が、東北新社に勤務する菅首相の長男が総務省幹部を過剰接待していたと報道して今回の騒動が始まった。

 最初のうちは批判が菅首相や内閣広報官となっていた山田真貴子氏(その後退職)に集中した。ところが時間がたつにつれ総務省保守派による改革派の「追い落とし作戦」であることがはっきりしてきた。総務省保守派とは、携帯電話の過剰値下げを食い止め、電波行政で特に優遇されているNHKなどテレビ局の利権を守ろうとする勢力である。

 総務省とは電波行政を司る「たぶん現在で最も取り扱う利権が厚い官庁」である。本来は国民の財産である電波をテレビ局や携帯電話会社に「割り振り」「利用料を徴収する」が、電波がどこにどう割り振られ、どのように利用料が決められているかは全く分からない。

 そこには日本以外の先進国すべて採用している電波オークションによるガラス張りの競争原理は全く働かず、すべて総務省による恣意的で一方的な決定が行われている。当然に国民の財産である電波から上がる利用料が最大限になる努力など全く行われていない。

 テレビ局と携帯電話会社の支払う年間の電波利用料(令和元年分)は、NHKが25億円、関東大手民放は6億円ちょっと、関西大手民放は1億円ちょっと、携帯電話会社ではNTT(当時はドコモ)が184億円、KDDIが114億円(別途UQが76億円)、ソフトバンクが150億円、参入直後の楽天モバイルが8億円である。

 携帯電話会社はテレビ局よりも高額の利用料を支払っているが、まだ値下げ競争前の令和元年当時は各社1兆円規模の営業収入を上げていた。つまり電波利用料は営業収入の1~2%でしかなかった。

 その携帯電話会社より明らかに優遇されているのがテレビ局で、とりわけNHKは25億円の電波利用料に対して6700億円もの視聴料を国民から強制的に徴収している。その比率は0.3%でしかない。

 つまり携帯電話会社もテレビ局も「電波を割り当てられていること自体が利権」であり、各社はその利権を守るために常に総務省幹部を「接待」していたことになる。テレビ局各社には、記事を全く書かない「波取り記者」が総務省内を終日うろつき、総務省幹部との接待スケジュールを決めるだけで高い給料をもらっている。菅首相の長男も「ちょっと高級な波取り記者」だったことになる。

 さてそんな石器時代のような総務省の電波行政に対して「批判的な改革派幹部」も確かにいた。そのトップが菅首相であり、接待が次々「録音テープ」付きで出てきて更迭された幹部は谷脇総務審議官を先頭に「すべて」改革派だったことは当然のよう報道されない。

 携帯電話会社は値下げ競争を強いる菅首相や谷脇審議官ら改革派を苦々しく見ていたはずで、谷脇審議官らの更迭で値下げ競争が緩和され(それなりの)利益が維持されることになる。携帯電話会社よりもっと優遇されているNHKなどテレビ局は、電波オークションに言及した菅首相に対する批判報道をやめない。自らが報道機関で利権を維持する報道しかしないため、それで公平な報道ができるはずがない。

 だから接待した側はNTTばかりが出てきて、NHKなどテレビ局が一切出てこない。またNTTが接待した中には野田聖子、高市早苗両議員が総務大臣時代、さらに武田・現総務大臣にまで接待疑惑が出ている。

 総務省幹部の接待といっても、1988年に発覚した金融機関による「すざまじい」大蔵省への接待攻撃に比べるとケタが2つほど小さい。しかし現職の総務大臣がNTT社長らと会食していたとなると、これは全く違った重大な意味を持ってくる。ここは厳しく処分しなければならない。

 そして最後に(菅首相の長男が勤務していた)東北新社が2017年1月に衛星放送事業認定を申請した2017年1月時点で外国人持ち株比率が20%を超えていたことがようやく表に出てきた。これは接待問題どころではなく、日本の安全保障上の重大問題である。接待問題だけで菅政権を批判することだけが総務省保守派の目的で、日本の安全保障に関する重大問題は「問題が大きいため無視した」ことになる。

 即刻、電波オークションを導入すべきである。また東北新社は上場廃止にすべきである。

2021年3月13日

ゲームストップ問題の本質とは?

| 中央銀行・金融情勢・提言編 | 米国 | 株式編 | 米国 | 経済編 | 米国 | 2021年2月06日 |

ゲームストップ問題の本質とは?

ゲームストップの株価急変動は様々な課題を残して収束に向かっている。今回の騒動は、超金融緩和・大型財政支出による「溢れ返る」資金が極端に偏在すると金融システムの「どこか」に穴が開くという「意外な脆さ」が浮き彫りになった。一歩間違えると「超金融緩和下の金融危機」となっていた可能性があり、今後も同じようなリスクが残ったと感じる。

 今回その象徴となったゲームストップとは、NY証券取引所上場のゲームソフト販売店を展開する「地味な会社」である。当然にコロナウイルスの影響を受けて業績も赤字転落となり、株価も2020年前半が3~5ドル、本年1月4日も17ドル(終値)だった。

 そんなゲームストップの株価がそこから(とくに1月の最終週に)出来高を伴って急上昇し、終値が1月25日に76ドル、26日に148ドル、27日に347ドルとなる。27日の売買金額は300億ドルを超え、アップルの200億ドルを大きく上回る。そして28日には一時483ドル、その時点で年初来28倍、時価総額も338億ドル(3.5兆円)となる。

 この主役は投稿型のオンライン掲示板「レディット」の運営するWSB(ウォールストリートベッツ)などに集まった個人投資家で、一部の銘柄を集中的に買い上げたからである。それがゲームストップのような業績不振銘柄だと空売り専門のヘッジファンドが集まるが、個人投資家はそれを見てさらに買い上げる。まさに「共闘買い」である。

 この時点で素人(個人投資家)集団がプロ(ヘッジファンドなど)を完全に打ち負かし、メルビン・キャピタルやシトロン・リサーチなど空売り専門業者が巨額損失を被る。その損失総額はこの時点で100億ドル(約1兆円)を超え、少し前までなら「金融危機」となっていた規模である。

 背景にはコロナウイルス対策の給付金や給与保証が手厚く家計に支払われ(失った賃金より数千億ドル多い)、また外出も制限されたため、家に籠って株式取引に熱中する個人投資家が急増していたことがある。この状況は今後も続くため、また同じような問題が起こるはずである。株式だけでなく貴金属、仮想通貨なども投資対象となる。

 しかしゲームストップは1月28日に483ドルの高値となった直後に、手数料無料で急拡大していたスマートフォン専業証券会社・ロビンフッドが突然にゲームストップなど乱高下している銘柄の取引を停止し、株価は短時間で112ドルまで急落する。この間もプロ(ヘッジファンドなど)は大手証券会社を通じて取引が出来ていたところが問題となる。

 ロビンフッドが膨れ上がる未決済株数(NYは2日目決済であるが、決済まで一定の証拠金を清算機関に積む必要がある)と信用取引残高に自己資金が追い付かなくなったからである。28日当日にロビンフッドは清算機関から追加で30億ドル(3150億円)も請求されていた。これも少し前なら「金融危機」となっていた規模である。

 ロビンフッドは必死の銀行借り入れと緊急増資で29日には取引を部分的に再開し、2月3日までに計34億ドルの緊急増資と10億ドルの銀行借入れに成功し、4日にやっと全銘柄の取引制限を解除する。しかしゲームストップは29日に325ドルまで反発したものの2月2日には90ドル、4日には53ドルまで急落した。5日早朝は80ドル台である。

 今度は個人投資家の損失が膨らみ、追加保証金の未納が相当発生したはずである。未納のままだと最終的にロビンフッドなど証券会社の損失となるため、やはり「金融危機」を引き起こす原因になる。

 そもそもロビンフッドは顧客注文をHFT(超高速取引業者)やヘッジファンドのMM(マーケットメーカー)にそっくり流してリベートを受け取り、それで顧客には手数料無料としてさらに注文をかき集めるビジネスモデルである。

同じタイミングで顧客との取引を制限した証券会社はロビンフッドだけではなかったが、公聴会を開催する連邦議会も含めて世間の批判はロビンフッドに集中する。そのビジネスモデルが「反感」を買っていたからと思われる。つまりロビンフッドのビジネスモデルは早晩行き詰まる可能性が強く、そこでも新たな「金融危機」を引き起こす原因となる。

 つまり今回のゲームストップ株価急変動には「金融危機」に至る要因がいくつも含まれていたことになる。市場に「溢れ返る資金」が何かの拍子で極端に偏在し、既存の金融システムの「どこか」に穴が開いて「超金融緩和下の金融危機」となる恐れがある。

 今回は何とか凌げたが、今後は分からない。また「金融危機」までは至らなくても「バブル崩壊」のきっかけには十分なりうる。

2021年2月6日