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今後の政策確認     横尾宣政

| 未分類 | 2022年7月11日 |

今後の政策確認     横尾宣政

 マスコミの中には「日銀は未だに低金利政策を続けるつもりだ」と批判的なコメントを出しているところがあるが、彼等はどのような考えからこのようなことを言っているのだろうか。仮に日本が金利引き上げを行ったとして、どんな経済効果があるというのか。

 米国は、ウクライナなどの外的要因に加え、従来からの好調な消費も物価上昇を後押ししている。だから、金利を引き上げることによって、物価上昇に歯止めを掛けようとしているのだ。

 トランプ政権が引き上げた中国製品への関税を引き下げるのも、好調な消費を考慮に入れたうえでの配慮である。中国に対しては体裁の良いことではないが、バイデン政権としては賢明な行動と言えるであろう。

 一方、日本を米国と同様に考えてはならない。

 30年間にわたり、日本の産業界は低迷(衰退)を続け、賃金は下がり続けている(資産・収入は二極化しているが)。

 このような中で、金利を引き上げても全く意味はない。

 最近問題になっている「ゼロゼロ融資」は酷い状況に陥るだろう。コロナ対策で、中堅企業に行われた40兆円以上のゼロ金利融資は来年から金利支払いが始まるが、現状でもその約2割が金利支払い不能だと言われている。その上、金利が上昇すればどうなるのか。

 3年の猶予期間があればコロナはおさまり融資は返済されると予想していたのだろうが、そんな短絡的な状況ではない。春以降沈静化していたコロナは、先週から一気に感染拡大に向かっている。信用保証協会が、融資を行った金融機関に代位弁済する仕組みになっているが(通常は、保証して貰う者が保証料を支払うが、ゼロゼロ融資は保証料を求められていない)、その分は、まわりまわって国民の負担になる。

 金利を引き上げれば、景気は減速を続け、税収は一層減少する。安易な国債発行で全てを賄ってきた日本政府は、今後もますます国債に依存するだろう。金利が上がれば国債の金利も上昇し、国の負担も増大する。

 その様な状況になっても日本の物価上昇は止まらない(国民の消費が止まるまで続く)。日本の物価上昇は外的要因と円安が原因だから、金利を引き上げても止まらないのである。原油や食料を外国に依存している国にとっての宿命だ。

 原油の代わりに日本近海に大量に堆積しているメタンハイドレートを商業化し、二酸化炭素の排出量が少ない燃料として活用することができれば原油問題は解決できるが、それまでは致し方ない(ただし、メタンハイドレートも化石燃料である為、再生エネルギーにはみなされない)。

 また、現在の日本の食料自給率は37%まで下がっており、先進国の中では最低の水準になっている。1960年頃は日本も70%を超えており、その当時、ドイツやイギリスの食料自給率は日本より低かったが、現在は両国ともに日本を大きく上回る自給率になっている。勿論、自給率が低ければ、円安による物価上昇の影響は大きい。

 農業は、円安・ウクライナ問題・天候問題・エタノール燃料問題などによって、価格に大きな影響を受けるが、日本の場合は単に生産量だけの問題ではない。肥料を与え過ぎている日本の農産物は、60年前に比べ著しく栄養価の低い状態になっており(5分の1近くになっているものもある)、過去の数倍の量を食べなければ同じ栄養価を得られない状態になっているのである。

 これら全てを全方位に考え、将来を見据えた農業政策を打ち出さねばならないのではないか。また、エレクトロニクスや精密機械などのハイテク産業も同様である。参院選の選挙公約を聞いていると、多くの政治家が「もう一度、日本にハイテクを復活させる」と言っているが、その方法や考え方は全く示されていない。

 声高に叫ぶ前に、何故、半導体・液晶などのハイテク産業が消えていったのかを考えてみるべきではないか。

 例えば、携帯電話とパソコンの融合可能性を最初に示したのは、iモード(NTT)であるが、いつの間にかiPhoneに置き換わられてしまった。世界を席巻したウォ-クマンはiPodに置き換わり、その後、iPhoneになってしまった。80年代の日本企業は、ユニークな発想で数多くの技術を開発したが、2000年代に入り、それらは次々と米国に置き換わっていったのだ。

1980年代と2000年代で、何が違うのだろうか。

 恐らく決定的なのは、バックに潤沢な開発費があったということだろう。当時、日本企業の年間研究開発費は8兆円を超えていたのだ。

 開発した米国企業が実用化を諦めた液晶を、粘り強く研究し続け、ついに電卓として実用させたのも日本企業(シャープ)だった。

 資源のない日本にとって、ユニークな発想と忍耐力で成功させてきたハイテク産業こそ、絶対に復活させなければならないだろう。それを実行するにあたって、円安・低金利は極めて都合が良いのかもしれない。

横尾宣政