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発電について      横尾宣政

| 未分類 | 2022年7月04日 |

発電について      横尾宣政

 火力発電所や水力発電所を見学されたことがある方は多いだろう。小規模なものであれば六本木ヒルズの地下にも発電所(ガス)はある。最近では、風力発電や太陽光発電など、様々な発電設備も目に付くようになった。このような発電に関して、過去に上場会社のトップから印象的なことを2回聞いたことが有る。一つは太陽光発電についての突拍子もない話だった。

 太陽光発電には、アモルファスシリコン太陽電池と結晶系シリコン太陽電池の二つがあるが、十数年前に聞いたのは、アモルファスと単結晶シリコンの併用型を作っていた大手メーカーの会長を訪問した時だった。

 その会社の入り口には、今日の発電(太陽光発電システム)によって、樹木何本分の光合成と同じ量(二酸化炭素)を削減したという表示があった。

 それについての話題になった時、私の他愛のない質問に対して返ってきたのは驚くべき内容だった。太陽光発電のパネルで発電する場合、二酸化炭素が発生することはないが、パネルを作る段階で大量の二酸化炭素を発生してしまい、太陽光発電でその分を取り返すには、約20年が掛かってしまうと説明だった。

 予想外の内容にそれ以上の質問は出来なかったが、今でもはっきりと頭に残っている。ところが、再生エネルギーの話題がさかんに取り上げられるようになった今日に至るまで、そのようなことが話題に上がったことがない。インターネットで検索しても、パネルの生産で大量の二酸化炭素が発生されるという記載は見当たらない。

 しかし、日本最大のメーカーのトップが言ったことだから、恐らく真実だったのだろう。アモルファスが問題なのかシリコンが問題なのか分からないが、いずれにしても、1社だけの問題だったとは思えない。この15年、どこにも掲載されていないのは何故だろうか。

 もう一つは、35年ぐらい前に化学会社のトップから聞いた話である。

 その会社は、主力工場内に火力発電所を持っており、発電量は島根県1県分ということだった。正確には覚えていないが「我が社のように、ソーダ灰(工業用無水炭酸ナトリウム)などの3品種を作っている化学会社は、タダ同然のコストで電力が作れる」「もし、自由に電力が売れれば、我が社は超優良会社になれる」「近隣の会社からも要望は来ている」という内容だった。その上、工場で必要な蒸気も同時に手に入るということだった。

 しかし、当時は、資本関係などの特殊な関係がある会社でなければ電力供給を出来なかったのである。

 あの時代、何故、法律改正を行わなかったのか。当時であれば、誰だってもろ手を挙げて賛成した筈だ(電力会社以外)。

 原子力反対の声が聞こえるたびに「彼らは、何故、化学会社などの具体的な方法を示して反対しないのだろうか」と考えたものだ(当時は二酸化炭素の問題は大きくなかった)。

 この頃、野村證券で英国送電会社の増資株販売を行ったことがあるが(英国は、既に、電気を作る会社と送電専門会社に分かれていた)、資料を読むうちに日本の電気事業法の矛盾を感じた。

 その後日本も段階的に電気事業法の改正を行ったが、発電設備と送電線の両方を持った大手電力会社をベースに考えた電力自由化は、コスト削減効果の出せない矛盾したものになっており、既に多くの参入会社が撤退に動いている。

 新電力での発電の多くが太陽光発電と風力発電という、気候に影響されやすいものに集中している。この二つに共通しているのは、小規模で、消費者に密接して発電できるということである。すなわち、小資本の発電設備で、ランニング・コストも不要であり、大した送電線も要らないということである。

 今後の日本が考えていかなければならないのは、化学会社が技術開発している脱二酸化炭素の発電設備であり、いくつかの会社がバイオマス発電・アンモニア発電などをスタートさせている。大容量の電力が必要な彼等は着々と進化している。
また、牛などの家畜を飼育している畜産農家を利用して、液肥(家畜排せつ物や食品残渣をメタン発酵させる過程で生成される)を使ったバイオマス発電も動き始めている。

 太陽光や風力などの自然に任せた発電から、廃棄物などを利用した(バイオマスなど)安定供給のできる段階に入っていく時が来たのではないか(少なくとも、核融合発電の時代が来るまでは)。

横尾宣政