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日銀の政策      横尾宣政

| 未分類 | 2022年6月20日 |

日銀の政策      横尾宣政

 米国は過去の金融緩和策を大きく転換し、再三金利を上げ始めた。その間に、ドル円相場は急激に円安となり、115円から一気に135円に移行した。

 しかし、日銀は一向に超低金利政策を変更しようとしない。マスコミは、日米金利差が円安の原因とし、それを批判的にとらえている。

 果たして、マスコミの捉え方が正しくて、日銀は間違っているのだろうか。

 確かに、日銀は「超低金利政策を変化するつもりはない」「円安は憂慮すべきだ」を連発し、「国民は物価上昇を受け入れている」という失言まで飛び出す状況である。

 しかし、今の状況を冷静に考えれば失言の真意は理解できる筈であり、いちいち揚げ足を取る必要のないことを理解しなければならない。

 今は、私達全員が、「絶対に金利を上げてはならない」ということで意見統一しなければならない時だろう。物価上昇の原因は、好景気によるものでない。スタグフレーションと言っても過言ではない、厳しい状態での物価上昇なのだ。

 この状態で金利を上げても、徳をする者は殆どいない。金融資産をため込んでいる金持ちぐらいしか、メリットはないだろう。資産面で世界一平等な国だった頃は、国民全体に資産が分散して、退職後に国債を購入すれば、十分な金利収入が得られる状況だった。

 しかし、今は資産や所得が二極化し、大半の国民は金利が上がっても暮らしていけない。借金をしている人も多く、金利上昇が多大なダメージを与えるだろう。

 更に、不動産(特にマンション)価格の高騰も心配である。これを支えているのが低金利ローンならば、更に深刻になる。

 企業も同様であり、低金利がこれだけ続いた中でも、1980年代のように巨額の研究開発や設備投資を行う企業は少ない。ここで金利を上げてしまえば、全ての企業の手がすくんでしまうだろう。政府は、半導体を始めとして、昔のような「ハイテク国家」を志向しているが、それを実現する為にも、低金利は必要条件である。

 仮に、日米金利差を考慮に入れず、日本だけが低金利を持続したとしても、それによる円安は一時的なものだと考えられる。現に、ここ数日の為替の動きを見ても、米国が予想以上の0.75%の金利上昇を受けて動いたのは極端な円高だった。135.50円から一気に131.50円まで、4円もの円高になったが、この時点で、更なる先の金利上昇が予想されていた。金利差を問題にするなら、このような動きは取らないだろう。

 NYダウは、大幅な金利上昇からの景気減速を懸念して、3万ドル割れで始まった。恐らく、ドル円相場も、景気減速(ファンダメンタルズの悪化)を予想した上でのドル安だったのだろう。しかし、いったん落ち着くと、ドルは135.00円まで買い戻された。 

 この様な時に日本が金利を上げていけば、日本のファンダメンタルズの悪化から、酷い円安がやってくるだろう。その上、ファンダメンタルズの弱さは、30年間かけて重くのしかかってきたものであって、昨日今日始まったものではない。
いずれにしても、今の金融政策に起死回生の一発はないことだけは確かだ。

 長年かけて、いたるところに出てきた綻びを修繕し、タイミング良く再出発の狼煙を上げるしかないだろう。そのために、政府は低金利を続けながら、企業に目標と自信を持たせなければならない。

 日銀にとって苦しい状況が続くだろうが、今は何を言われようとも、黙って低金利政策を続けるのが一番だろう。勿論、国債依存の政府にとっても、それが得策な筈である。

横尾宣政