2022/05/16(月)

17時16分20秒

闇株新聞

世界の出来事を独自の見解で読み解く 刺激的金融ブログ

検索

金利と為替の動向【1】      横尾宣政

| 未分類 | 2022年4月11日 |

金利と為替の動向(1)          横尾宣政

 米国は40年来の金利引下げ・ゼロ金利政策を転換し、金利を引き上げ出したのか。米国国債は1980年代に16%の高金利を付けてから、次第に下がり始め、ゼロ金利にまで到達した。

 勿論、その40年間に2~4%程度の金利上昇局面はあったが、大局的には長期間の金利引下げ時代だったと言えるのではないか。その背景には、プラザ合意による「ドル安誘導(実際は強制的なドル安)」とその後の「ドル安容認」があったと思われる。

 トランプ大統領時代も、中国に対しては関税を引き上げ、日本には円高ドル安で貿易赤字の解消を狙った。

 しかし、米ドルの実効為替レートを見ると、2002年頃から再度ドル安に転じているが、ドル安は輸出を促進する方向に作用せず、その上、ドル安になっても輸入は増え続ける状況になっている(この件の続きは次回)。

 一方、日本の製造業は、プラザ合意による円高・ドル安で多大な影響を受けたが、直後の株高による資金調達コストの低減(ワラント債による、ゼロコストの大型ファイナンス)は、彼等のR&D・設備投資を一気に促進させた。日本の製造業が最も飛躍した時代である。更に、日本の不動産の高騰とドル安は、米国不動産の割安感を生み、それを好機と見た日本の投資家は米国の不動産を買い漁った。しかし、そのような環境は長くは続かなかった。

 株価・不動産の高騰を懸念した日本政府は、1989年から金利の高め誘導を開始し、1989年の終値で3万8915円の最高値を付けた日経平均は、翌年から下げ始めた。更に、1991年に起こった第一次証券不祥事で、四大証券が営業停止となり、証券会社の営業に対する規制が強化された。証券会社の営業力は弱体化し、その後40年間、株式相場は低迷が続いている。

 世界的な超低金利の時代が続いたが、米国は一足先に利上げを始め、それによって円ドル相場は125円を付ける状況になっている。

 今後、為替はどうなるのか。日本の金利はどうなるのか。

 過去の日本で金利が大きく上昇したのは、外的要因の第一次オイルショック(1973年、4.25%公定歩合が9%)と第二次オイルショック(1978年、3.5%の公定歩合が9%)であり、内的要因での金利上昇は1989年のバブル抑制(公定歩合は2.5%が6%)である。

 最も金利が上昇した1978年は、3.5%にまで下がっていた公定歩合(基準割引率、基準貸付利率)は、第二次オイルショックという外的要因に影響を受けて9%まで上昇したが、その間、オイルショックに対応できなかった大蔵省は、市場価格が90円に下落している6.1%国債を、99円80銭で発行し続けた。このような詐欺行為が可能だったのは、日本人に「金融知識」がなかったから(金融の教育がなかったから)である。金融知識を学んでいない人間は、当然、そのようなことに興味を持たない。

 当時の日本は、予算の30%以上を国債に依存しており、6.1%国債を完売できるかどうかが死活問題だった。その為に、大蔵省は証券会社にプレッシャーをかけ、証券会社の支店長は営業マンを𠮟咤激励した。彼等のアドバイスは酷いもので「玄関に貼ってある新聞社のシールが全国紙なら勧めるな。地方紙の家に入って、高齢者なら勧めろ」というものであった。顧客も可哀そうだが、この営業をクレーム覚悟で行い続ける社員も悲惨で、この1年で4割以上の社員が退社した(勿論、6.1国債に匹敵する投資信託も原因だったが)。

 私の記憶では、6.1%国債の利回りは、1980年4月に瞬間12%台まで上昇(価格は75円前後まで下落)した筈である。この間の約1年半は、まさに下落一方の動きであった。

 ただし、12%というのは日本式単利であって、IRRでは11%ぐらいになった筈である。この現象を更に悪用したのが大蔵省であり、5年の割引国債を発行し始めたのである。これも、日本式単利を利用した詐欺まがいな行為である。
 
 日本式単利とIRRが同じ利回り表示になるのは、「払込金100円、償還金100円の利付国債」(普通債)だけで、割引債やゼロクーポン債のような額面を下回る価格で発行する国債は、複利(IRR)よりも単利の方が高い利回りが表示される。すなわち、日本式単利で同じ利回りになっている普通債と割引国債では、割引国債のほうが高い価格で発行できるのである(条件が悪い)。

 流石に、今では短期国債しか割引国債は発行していないようであるが、今後金利が上昇してきた時に長期の割引国債が発行され始めたら、絶対買ってはならない。

 いずれにしても、今の世界情勢は、オイルショックを上回る物価上昇が懸念されるウクライナ・ショックに翻弄されている。

 今後、見なければならないのは、①ウクライナ情勢、②米国の為替政策、③それらに伴う金利動向、であろう。そして、日本の金利が上昇し始めた時の政府の対応である。

横尾宣政