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東京オリンピック開催に固執する弊害

| 政治・政策提言 | 日本 | 2021年3月27日 |

東京オリンピック開催に固執する弊害

 政府は3月21日にコロナウイルス緊急事態宣言を解除し、同25日からのオリンピック聖火リレーに間に合わせた。世界中でコロナウイルス感染者(とくに変異種)が猛スピードで拡大しており、日本でもこれから感染が拡大するとの予想も多い。ところが政府もメディアも外出や外食の自粛を呼びかけるだけで、東京オリンピック開催への懸念には結び付けないよう配慮している。

 政府は3月15日に、東京オリンピックにおいて海外客の受け入れを見送る方向で調整すると決めているが、とにかく「何が何でも(何をどう捻じ曲げても)開催だけは強行する」つもりである。

 それでは東京オリンピック開催を巡る「海外の本当の動き」はどうなっているのか? まずIOCはオリンピックさえ開催されれば膨大な放映権収入やスポンサー収入が独占的に入るため「当然に開催に賛成」である。これら収入の半分は開催地(東京都)に還元されるが、膨大な施設建設費や運営コストはすべて開催地の負担となるため、開催地は通常開催でも2兆円近い赤字になる。これに海外客の受け入れが見送られれば、さらに赤字は拡大する。

 しかしIOCも世界の独占放映権を持つ米NBCの意向は無視できない。NBCは今後、参加辞退国(選手団を派遣しない国)が増えるとスポンサー収入が減るため、当然に「やめてしまえ」とIOCに圧力をかける。NBCは2032年までの夏冬オリンピック独占放映権を持つため、IOCも従わないわけにはいかない。

 つまり現時点における東京オリンピック開催は、どれだけ参加国(選手団を派遣する国)
が集まるかにかかっている。菅首相が急遽4月に訪米してバイデン大統領と会談するが、その「本当の目的」は米国に東京オリンピック参加を「懇願」するためである。当然にNBCは自国(米国)が参加しないオリンピックでは利益が出ず(開催されれば放映しなければならない)、早くIOCに中止決定させて「もっと利益が出る番組」に切り替えたいからである。

 菅首相は4月の訪米時にバイデン大統領を「開会式に招待」するようであるが、バイデンの政策とはコロナ対策と環境対策と財政バラマキしかないため、おいそれと自国選手団を感染リスクがある日本への派遣に踏み切れない。そうでなくても日本ではワクチン調達が遅れている。

 これは米国に限らず、通常の判断ができる国はすべて選手団の派遣に慎重になるはずである。だから日本はここからの感染拡大は「何が何でも(何をどう捻じ曲げても)」防がなければならない。

 日本は当然に選手団を派遣してくれる国は「無条件」で歓迎することになる。もし(そんなことはないと思うが)感染状態が最悪の国が参加するなら、それだけで多くの国が参加を取りやめる。何よりもオリンピック開催そのものが、日本国民の感染リスクを最大限拡大させることになる。

 さらにもっと微妙な問題がある。ウイグル人への虐待や数多くの人権問題を抱える中国が開催する来年(2022年)の北京冬季オリンピック・ボイコットが水面下で広がっている。そこへ中国が東京オリンピックに堂々と選手団を派遣すれば、それだけで多くの国が東京オリンピックもボイコットする。そうでなくても日本はウイグル人虐待に対する経済制裁に加わらない「数少ない国」であり、国際社会で「親中国」と認識され(まあその通りであるが)孤立する恐れまである。

 菅首相は2021年度予算が通過した26日夜、「コロナウイルス対策が最重要である時期に衆議院解散は適当ではない」と述べているが、正確には「衆議院を解散してボロ負けしないためにも東京オリンピック開催は強行しなければならない。そのためには何が何でも(何を捻じ曲げても)コロナウイルス拡大を防ぐため解散どころではない」といったところである。さらに連立を組む公明党にも「対面の選挙運動が制限される現在に解散すれば大幅に議席を減らす恐れがある」との事情もある。

 日本でも5月頃にコロナウイルス感染のピークが来ると予想されている中で、7月23日に競技開催となる東京オリンピック開催は「どう考えても」現実的ではない。強行開催すれば日本国民の命を危険に晒し、さらに国際社会でも微妙な立場に追い込まれる。

 ここは意地を張らずにさっさと「日本国民の命を守るため」として中止決定し、堂々とIOCから代替開催権を確保し(時期が難しいが)、ついでにその国民の信を問う衆議院解散に踏み切れば、少なくとも大敗することはない。そうしないで結局はオリンピック中止に追い込まれ、任期満了近くの衆議院解散となれば「悪夢のような政権交代」が現実味を帯びてくる。

 決断の時である。

2021年3月27日