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ゲームストップ問題の本質とは?

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ゲームストップ問題の本質とは?

ゲームストップの株価急変動は様々な課題を残して収束に向かっている。今回の騒動は、超金融緩和・大型財政支出による「溢れ返る」資金が極端に偏在すると金融システムの「どこか」に穴が開くという「意外な脆さ」が浮き彫りになった。一歩間違えると「超金融緩和下の金融危機」となっていた可能性があり、今後も同じようなリスクが残ったと感じる。

 今回その象徴となったゲームストップとは、NY証券取引所上場のゲームソフト販売店を展開する「地味な会社」である。当然にコロナウイルスの影響を受けて業績も赤字転落となり、株価も2020年前半が3~5ドル、本年1月4日も17ドル(終値)だった。

 そんなゲームストップの株価がそこから(とくに1月の最終週に)出来高を伴って急上昇し、終値が1月25日に76ドル、26日に148ドル、27日に347ドルとなる。27日の売買金額は300億ドルを超え、アップルの200億ドルを大きく上回る。そして28日には一時483ドル、その時点で年初来28倍、時価総額も338億ドル(3.5兆円)となる。

 この主役は投稿型のオンライン掲示板「レディット」の運営するWSB(ウォールストリートベッツ)などに集まった個人投資家で、一部の銘柄を集中的に買い上げたからである。それがゲームストップのような業績不振銘柄だと空売り専門のヘッジファンドが集まるが、個人投資家はそれを見てさらに買い上げる。まさに「共闘買い」である。

 この時点で素人(個人投資家)集団がプロ(ヘッジファンドなど)を完全に打ち負かし、メルビン・キャピタルやシトロン・リサーチなど空売り専門業者が巨額損失を被る。その損失総額はこの時点で100億ドル(約1兆円)を超え、少し前までなら「金融危機」となっていた規模である。

 背景にはコロナウイルス対策の給付金や給与保証が手厚く家計に支払われ(失った賃金より数千億ドル多い)、また外出も制限されたため、家に籠って株式取引に熱中する個人投資家が急増していたことがある。この状況は今後も続くため、また同じような問題が起こるはずである。株式だけでなく貴金属、仮想通貨なども投資対象となる。

 しかしゲームストップは1月28日に483ドルの高値となった直後に、手数料無料で急拡大していたスマートフォン専業証券会社・ロビンフッドが突然にゲームストップなど乱高下している銘柄の取引を停止し、株価は短時間で112ドルまで急落する。この間もプロ(ヘッジファンドなど)は大手証券会社を通じて取引が出来ていたところが問題となる。

 ロビンフッドが膨れ上がる未決済株数(NYは2日目決済であるが、決済まで一定の証拠金を清算機関に積む必要がある)と信用取引残高に自己資金が追い付かなくなったからである。28日当日にロビンフッドは清算機関から追加で30億ドル(3150億円)も請求されていた。これも少し前なら「金融危機」となっていた規模である。

 ロビンフッドは必死の銀行借り入れと緊急増資で29日には取引を部分的に再開し、2月3日までに計34億ドルの緊急増資と10億ドルの銀行借入れに成功し、4日にやっと全銘柄の取引制限を解除する。しかしゲームストップは29日に325ドルまで反発したものの2月2日には90ドル、4日には53ドルまで急落した。5日早朝は80ドル台である。

 今度は個人投資家の損失が膨らみ、追加保証金の未納が相当発生したはずである。未納のままだと最終的にロビンフッドなど証券会社の損失となるため、やはり「金融危機」を引き起こす原因になる。

 そもそもロビンフッドは顧客注文をHFT(超高速取引業者)やヘッジファンドのMM(マーケットメーカー)にそっくり流してリベートを受け取り、それで顧客には手数料無料としてさらに注文をかき集めるビジネスモデルである。

同じタイミングで顧客との取引を制限した証券会社はロビンフッドだけではなかったが、公聴会を開催する連邦議会も含めて世間の批判はロビンフッドに集中する。そのビジネスモデルが「反感」を買っていたからと思われる。つまりロビンフッドのビジネスモデルは早晩行き詰まる可能性が強く、そこでも新たな「金融危機」を引き起こす原因となる。

 つまり今回のゲームストップ株価急変動には「金融危機」に至る要因がいくつも含まれていたことになる。市場に「溢れ返る資金」が何かの拍子で極端に偏在し、既存の金融システムの「どこか」に穴が開いて「超金融緩和下の金融危機」となる恐れがある。

 今回は何とか凌げたが、今後は分からない。また「金融危機」までは至らなくても「バブル崩壊」のきっかけには十分なりうる。

2021年2月6日