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株主総会の議決権集計で「不適切」な処理

| 個別企業編 | 個別企業編-その他 | 日本 | 東芝 | 株式編 | 2020年9月26日 |

 三井住友信託銀行は上場企業の株主総会における議決権集計業務において1000社以上、20年以上にわたって「不適切」な処理が行われていたと公表した。9月24日のことである。

 コトのきっかけは、シンガポールの投資ファンドである3Dインベストメント・パートナーズが7月31日に開催された東芝の株主総会で、(あくまでも彼らの主張ではあるが)議決権行使書を国内から7月27日に投函したにもかかわらず無効とされたと調査を求めたからである。

 これが日本の株主の要求なら無視したはずの三井住友信託も、相手が外国人、しかも「物言う株主」なので大急ぎで対応を考えたはずである(東芝にも相談したはずである)。

 その結果「同ファンドの議決権行使書は7月30日に三井住友信託に届いていたが、議決権行使書は特別に郵便局から前日に届けてもらっているため、実際は翌31日の到着扱いとなり(締め切り期限が7月30日夕刻であるため)無効になった」との説明を考えた。

 これは明らかに責任回避を優先した「下手な答え」である。その結果、冒頭の1000社以上、20年以上の「不適切」な処理を認めざるを得なくなった。同日午後にはみずほ信託銀行も「不適切」な処理を認め、2社合計で1346社と国内上場企業の3割以上の株主総会で株主の意思が正当に反映されていなかった可能性が出てきた。

 株主総会における議決権集計業務を含む上場会社の株式関連事務は「証券代行業務」と呼ばれ、大手信託銀行3行とアイ・アールジャパンなど専業3社にだけ認められている。実際は三井住友信託、みずほ信託、まだ「不適切」の発表がない三菱UFJ信託で「ほぼ」独占している大変な高収益業務である。

 だいたいのシェアは三井住友信託と三菱UFJ信託が4割ずつ、みずほ信託が2割ほどである。3大メガバンクグループでは三井住友だけ抜けている。三井住友信託は全く別の会社で、昔シェアトップだった中央信託を吸収合併しているためシェアが高い。

 それではどこが「下手な答え」なのか? 

 そもそも「特別に郵便局から前日に届けてもらっている」とはどういう意味なのか? 前日だろうが当日だろうが議決権行使書が信託銀行に届いた段階で有効であり、コトのきっかけとなった「物言う株主」の議決権行使書が7月30日の夕方以前に三井住友信託に届いていたなら有効でなければおかしい。夕方を過ぎていたとは説明されていない。

 これは「7月30日の夕方以前に三井住友信託銀行に届いていた(有効な)議決権行使書のうち、顧客である東芝の意向に反する可能性のあるものだけを意識的に除外した」と告白しているようなものである。

 さらに三井住友信託は「企業で発生する損失を補填する」とも発表しているが、そもそもこういう「不適切」な処理で損失を被るのは株主であり、上場企業ではない。また「不適切」に処理された株主が裁判に訴えたとしても、その要求は「議決権の再集計」か「株主総会の決議無効」で、上場会社に損害賠償責任が発生するとは考えにくい。

 いうまでもなく株主総会は上場会社の最高意思決定機関であり、裁判所も株主総会で承認された事項に対する異議は「絶対に」認めない。従って今後も「議決権の再集計」や「株主総会の決議無効」が裁判で要求されても、認められることはないはずである。

 しかし今回の「下手な答え」でこの問題を鎮静化させようと考えているなら、間違いなく「もっと大きな問題」が出てくるはずである。

2020年9月26日

 

 

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