2021/02/06(土)

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ゲームストップ問題の本質とは?

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ゲームストップ問題の本質とは?

ゲームストップの株価急変動は様々な課題を残して収束に向かっている。今回の騒動は、超金融緩和・大型財政支出による「溢れ返る」資金が極端に偏在すると金融システムの「どこか」に穴が開くという「意外な脆さ」が浮き彫りになった。一歩間違えると「超金融緩和下の金融危機」となっていた可能性があり、今後も同じようなリスクが残ったと感じる。

 今回その象徴となったゲームストップとは、NY証券取引所上場のゲームソフト販売店を展開する「地味な会社」である。当然にコロナウイルスの影響を受けて業績も赤字転落となり、株価も2020年前半が3~5ドル、本年1月4日も17ドル(終値)だった。

 そんなゲームストップの株価がそこから(とくに1月の最終週に)出来高を伴って急上昇し、終値が1月25日に76ドル、26日に148ドル、27日に347ドルとなる。27日の売買金額は300億ドルを超え、アップルの200億ドルを大きく上回る。そして28日には一時483ドル、その時点で年初来28倍、時価総額も338億ドル(3.5兆円)となる。

 この主役は投稿型のオンライン掲示板「レディット」の運営するWSB(ウォールストリートベッツ)などに集まった個人投資家で、一部の銘柄を集中的に買い上げたからである。それがゲームストップのような業績不振銘柄だと空売り専門のヘッジファンドが集まるが、個人投資家はそれを見てさらに買い上げる。まさに「共闘買い」である。

 この時点で素人(個人投資家)集団がプロ(ヘッジファンドなど)を完全に打ち負かし、メルビン・キャピタルやシトロン・リサーチなど空売り専門業者が巨額損失を被る。その損失総額はこの時点で100億ドル(約1兆円)を超え、少し前までなら「金融危機」となっていた規模である。

 背景にはコロナウイルス対策の給付金や給与保証が手厚く家計に支払われ(失った賃金より数千億ドル多い)、また外出も制限されたため、家に籠って株式取引に熱中する個人投資家が急増していたことがある。この状況は今後も続くため、また同じような問題が起こるはずである。株式だけでなく貴金属、仮想通貨なども投資対象となる。

 しかしゲームストップは1月28日に483ドルの高値となった直後に、手数料無料で急拡大していたスマートフォン専業証券会社・ロビンフッドが突然にゲームストップなど乱高下している銘柄の取引を停止し、株価は短時間で112ドルまで急落する。この間もプロ(ヘッジファンドなど)は大手証券会社を通じて取引が出来ていたところが問題となる。

 ロビンフッドが膨れ上がる未決済株数(NYは2日目決済であるが、決済まで一定の証拠金を清算機関に積む必要がある)と信用取引残高に自己資金が追い付かなくなったからである。28日当日にロビンフッドは清算機関から追加で30億ドル(3150億円)も請求されていた。これも少し前なら「金融危機」となっていた規模である。

 ロビンフッドは必死の銀行借り入れと緊急増資で29日には取引を部分的に再開し、2月3日までに計34億ドルの緊急増資と10億ドルの銀行借入れに成功し、4日にやっと全銘柄の取引制限を解除する。しかしゲームストップは29日に325ドルまで反発したものの2月2日には90ドル、4日には53ドルまで急落した。5日早朝は80ドル台である。

 今度は個人投資家の損失が膨らみ、追加保証金の未納が相当発生したはずである。未納のままだと最終的にロビンフッドなど証券会社の損失となるため、やはり「金融危機」を引き起こす原因になる。

 そもそもロビンフッドは顧客注文をHFT(超高速取引業者)やヘッジファンドのMM(マーケットメーカー)にそっくり流してリベートを受け取り、それで顧客には手数料無料としてさらに注文をかき集めるビジネスモデルである。

同じタイミングで顧客との取引を制限した証券会社はロビンフッドだけではなかったが、公聴会を開催する連邦議会も含めて世間の批判はロビンフッドに集中する。そのビジネスモデルが「反感」を買っていたからと思われる。つまりロビンフッドのビジネスモデルは早晩行き詰まる可能性が強く、そこでも新たな「金融危機」を引き起こす原因となる。

 つまり今回のゲームストップ株価急変動には「金融危機」に至る要因がいくつも含まれていたことになる。市場に「溢れ返る資金」が何かの拍子で極端に偏在し、既存の金融システムの「どこか」に穴が開いて「超金融緩和下の金融危機」となる恐れがある。

 今回は何とか凌げたが、今後は分からない。また「金融危機」までは至らなくても「バブル崩壊」のきっかけには十分なりうる。

2021年2月6日

バイデン政権の危うさと世界の株式市場

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バイデン政権の危うさと世界の株式市場

 トランプが大統領に当選した2016年11月4日のNYダウ(終値、以下同じ)は17888ドルだった。コロナウイルスショックに襲われた2020年3月23日には18591ドルまで下落して「ほとんど振り出しに戻っていた」ため、トランプ政権における株価上昇の大半は、その後の猛烈な金融緩和・量的緩和・財政出動により実現したことになるが、トランプ政権時に株価が大きく上昇したことは事実である。

 一方でバイデンが正式に大統領に就任した2021年1月20日のNYダウは31188ドルと史上最高値となった。選挙人投票の開票日にデモ隊が議会に乱入してトランプ逆転の芽が消滅した1月6日は30829ドルだったため、ここからバイデン政権の株式市場がスタートしたと考えられる。

 つまりトランプ政権のNYダウは実質的に17888ドルでスタートし、バイデン政権は同じく30829ドルでスタートしたと考えるべきである。

 そして本日(1月29日)のNYダウは620ドル安の29982ドルと、30000ドルを割り込んでしまった。

 これだけでバイデン政権を株式市場は評価していないと決めつけるつもりはないが、バイデン政権にいくつかの「危うさ」があり株式市場が懸念し始めていることは事実と感じる。

 その「危うさ」を大きく分けると、以下の4つである。

 まず1つ目は、もともと典型的な民主党のバラマキ型政策にコロナウイルス対策や公約のインフラ整備が加わり財政赤字が際限なく膨らむことである。トランプ政権時には失業対策支援を通じて家計から推定7000億ドルもの資金が株式市場に流れ込んで株高を演出していた。しかしそこにバイデン政権のバラマキが際限なく続くと、さすがに市場に警戒心が出てくるはずである。

 2つ目は、バイデンは大統領選で「お世話」になった中国共産党、ITなど国内巨大企業、マイノリティ、過激派を含む左翼勢力、それに共和党幹部ら「すべての意向」を取り入れる必要がある。その結果、外交・経済など政策すべてに一貫性・主体性がなくなり、米国だけでなく世界の分断を加速することになる。対中国政策も「強がり」は人権問題だけであり、すでに中国共産党に完全に舐められている。

 3つ目は(これが最大の危うさと考えるが)、認知症気味のバイデンは当然にリーダーシップに欠け、ボロが続出し、早期にレームダック化する恐れがある。

 そして最後の4つめは、トランプを排除したかった共和党幹部の協力がまだ得られているため、今のところは議会との関係が良好で閣僚の承認もスムーズであるが、早くも共和党内の「風向き」が変わっている。共和党議員の賛成で(正確には造反で)、下院でスピード決議され、上院で承認されたトランプ弾劾裁判も、早くも賛成(造反)した共和党議員に逆風が吹いている。トランプが共和党に留まりそうなため、早ければ2022年の下院選挙、知事選でトランプを敵に回すことは得策ではないからである。つまりバイデン政権と議会(とくに上院)との関係は、まもなく対立が目立つことになる。

この辺のバイデン政権に対する「漠然とした不安感」が株式市場にも反映されていると感じる。超金融緩和は当面維持され、さらなる財政資金が家計を通じて株式市場に流入するため、まだまだ本格的に下落すると考える必要はないが、バイデン政権発の「バブル崩壊へのカウントダウン」が始まったと考えておくべきである。

当然に米国を睨む日本など世界の株式市場も、一蓮托生である。

2020年1月30日