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金利の考え方    横尾宣政

| 未分類 | 2022年6月27日 |

金利の考え方      横尾宣政

 昔、スイスはゼロ金利らしいと聞いて驚いたことが有る。そんな状況で銀行はどのように利益を上げているのだろうか、凄く疑問を感じた。そのような私達にとって今の日本の状況は想像できない世界だった。

 逆に考えると、今の金融マンで高金利を知っている人はいない筈だ。1982年をピークにして、普通国債の利率加重平均は下げ続けている。すなわち、この間は国債の売買で損をした人間はいないということである(短期売買を別として)。

 「今の米国で4.5%の金利を知っている金融マンは殆どいない」とニュースで言っていたが、米国も同じ状況である。

 怖さを知らないから、こんなに超低金利の国債を大量に購入できるのだろう。

 しかし、金利が上昇し始めた米国債に対して、債券ディーラーは今後どう動くのだろうか。金利上昇だけでなく、格付けスプレッド(格付けによる金利差)が大きい米国は、倒産が増え、デフォルト率が上がっていくと、格付スプレッドは拡大していき、一般の社債は国債を大きく上回る発行レートになっていく。

 現に、米国のジャンク債利回り(ハイ・イールド債市場)は、今年5月に2年振りの高利回りになり、その後も上がり続けている。

 政策金利が上昇し始めたのを背景に、景気減速、不況突入、そして倒産率の上昇(デフォルト率の上昇)を危惧したジャンク債マーケットは、下落を始めたのである。この動きは、各格付けのスプレッドを拡大していくだろう。

 円安の歯止めという点では、この動きは有り難いかもしれない。今後のドル円相場は、日本と米国のファンダメンタルズによって決定されるだろうから、米国の状況が日本以上に悪くなっていけば、円安にストップが掛かるだろう。

 ただし、株式市場は「米国がクシャミをすれば、日本は風邪をひく」と言われてきたように大打撃を受けるだろう。いずれにしても、今後の米国経済は要注意であり、今までに誰も経験したことのない状況に陥るかもしれない。

 一方、日本は格付スプレッドで経済がつぶれる危険性は低いだろう。ただし、不動産価格だけは注意しておかなければならない。

 国力のバロメーターとして、為替・株価・不動産価格が挙げられるが、日本の場合、不動産だけが例外的に強い動きをしているような気がする。都内のマンション価格はオリンピックが終わって1年経っても堅調のようだ。

 土地神話に基づいて金を貸す日本は、昔から格付けの意識が乏しく、AAAを取得した日立製作所と店頭公開企業の借入金利に大きな差はなかった。

 米国の銀行は、相手企業の安定性・成長性等を確かめて、貸し出し金利を決定するが(サブプライムに目がくらんだ一瞬を除いて)、日本の銀行は、相手が保有している不動産だけに注目した。

 1990年代にバブルが崩壊し、不動産価格が大暴落した瞬間だけは「土地神話」がなくなったかに見えたが、30年経った現在、果たしてどうだろうか。今は政府によって低金利が保たれて不動産価格も安定しているが、この条件が消えた時はどうなるのか。

 バブルの時は、都内にあると言うだけで、内容の伴わない物件も凄い高価格が付いていたが、バブル崩壊の瞬間、それらは10分の1になった。その経験を活かして今の不動産相場は成り立っているのだろうが、不動産に疎い私には分からない。

 だが、変動金利のローンで購入している人は、金利の選択だけは検討して貰いたい。日本の歴史上で、今が最も低金利なことだけは確かである。今より低金利を望むのは無謀だし、未来永劫この金利が続くと考えるのは非常識である。今後、全期間固定金利型にするのか、変動金利のままにしておくのかを考えていくべきだろう。

 変動金利(短期金利)というのは、急激に上昇し始める。特に、低金利が終焉を迎え、高金利に動き出す時は、長短金利の逆転現象は珍しくない。

 勿論、景気が良くなり、不動産価格も上昇し、それに伴って金利が上昇するのであれば問題はないが、金利だけが上昇するという危険性もある。

 政府が超低金利政策を取り続けてくれている間がチャンスだと思う。

横尾宣政
 

日銀の政策      横尾宣政

| 未分類 | 2022年6月20日 |

日銀の政策      横尾宣政

 米国は過去の金融緩和策を大きく転換し、再三金利を上げ始めた。その間に、ドル円相場は急激に円安となり、115円から一気に135円に移行した。

 しかし、日銀は一向に超低金利政策を変更しようとしない。マスコミは、日米金利差が円安の原因とし、それを批判的にとらえている。

 果たして、マスコミの捉え方が正しくて、日銀は間違っているのだろうか。

 確かに、日銀は「超低金利政策を変化するつもりはない」「円安は憂慮すべきだ」を連発し、「国民は物価上昇を受け入れている」という失言まで飛び出す状況である。

 しかし、今の状況を冷静に考えれば失言の真意は理解できる筈であり、いちいち揚げ足を取る必要のないことを理解しなければならない。

 今は、私達全員が、「絶対に金利を上げてはならない」ということで意見統一しなければならない時だろう。物価上昇の原因は、好景気によるものでない。スタグフレーションと言っても過言ではない、厳しい状態での物価上昇なのだ。

 この状態で金利を上げても、徳をする者は殆どいない。金融資産をため込んでいる金持ちぐらいしか、メリットはないだろう。資産面で世界一平等な国だった頃は、国民全体に資産が分散して、退職後に国債を購入すれば、十分な金利収入が得られる状況だった。

 しかし、今は資産や所得が二極化し、大半の国民は金利が上がっても暮らしていけない。借金をしている人も多く、金利上昇が多大なダメージを与えるだろう。

 更に、不動産(特にマンション)価格の高騰も心配である。これを支えているのが低金利ローンならば、更に深刻になる。

 企業も同様であり、低金利がこれだけ続いた中でも、1980年代のように巨額の研究開発や設備投資を行う企業は少ない。ここで金利を上げてしまえば、全ての企業の手がすくんでしまうだろう。政府は、半導体を始めとして、昔のような「ハイテク国家」を志向しているが、それを実現する為にも、低金利は必要条件である。

 仮に、日米金利差を考慮に入れず、日本だけが低金利を持続したとしても、それによる円安は一時的なものだと考えられる。現に、ここ数日の為替の動きを見ても、米国が予想以上の0.75%の金利上昇を受けて動いたのは極端な円高だった。135.50円から一気に131.50円まで、4円もの円高になったが、この時点で、更なる先の金利上昇が予想されていた。金利差を問題にするなら、このような動きは取らないだろう。

 NYダウは、大幅な金利上昇からの景気減速を懸念して、3万ドル割れで始まった。恐らく、ドル円相場も、景気減速(ファンダメンタルズの悪化)を予想した上でのドル安だったのだろう。しかし、いったん落ち着くと、ドルは135.00円まで買い戻された。 

 この様な時に日本が金利を上げていけば、日本のファンダメンタルズの悪化から、酷い円安がやってくるだろう。その上、ファンダメンタルズの弱さは、30年間かけて重くのしかかってきたものであって、昨日今日始まったものではない。
いずれにしても、今の金融政策に起死回生の一発はないことだけは確かだ。

 長年かけて、いたるところに出てきた綻びを修繕し、タイミング良く再出発の狼煙を上げるしかないだろう。そのために、政府は低金利を続けながら、企業に目標と自信を持たせなければならない。

 日銀にとって苦しい状況が続くだろうが、今は何を言われようとも、黙って低金利政策を続けるのが一番だろう。勿論、国債依存の政府にとっても、それが得策な筈である。

横尾宣政