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ビジネスとしてのMLB(Major League Baseball)

| 科学・趣味・その他編 | 米国 | 2019年10月08日 |

 日本プロ野球(NLB)ではクライマックス・シリーズが始まっているが、米国でもMLBのポストシーズン・プレイオフが佳境に入っている。

 NLBは12球団、MLBは30球団(うちカナダに1球団)ある。これだけ球団数に差があるにもかかわらず、野茂投手がMLB入りした1995年当時は、NLBとMLBの総収入は同じくらいであった。MLBはその前年の1994年にストライキがあり、シーズンが途中で打ち切られてしまった影響もあった。

 ところが現在(2019年シーズンがまだ終わっていないので2018年の数字であるが)MLBの総収入は103億ドル(1兆1100億円)、これに対してNLBの総収入は1500億円くらいである。実に7倍以上の差がついてしまった。

 そのMLBの収入の最大部分はテレビ放映権料である。現在の放映権料は全国放送分がESPN、FOX,TBS(日本のTBSではない)の3社合計で、2021年までの8年・総額120億ドル(1兆3000億円)である。つまり1年あたり15億ドルで、基本的に30球団に均等に配分されるため、1球団当たり年間5000万ドル(54億円)にもなる。

 これにケーブルテレビを含む地元放送局とは各球団が独自に契約を結べるため(つまり収入を独り占めできるため)、人口の多い大都市ほど契約者数が多く放映権料が年間1億ドル(108億円)にもなるケースがある。だからNYヤンキースやLAドジャースやシカゴ・カブスなど大都市にある球団が金満球団といわれるわけである。

 当然のように人件費(選手の年俸)も天井知らずに高騰している。2018年の年俸総額(メジャー契約の40人の合計)は、トップのボストン・レッドソックスは2億3000万ドル(250億円)にもなる。

 金満球団の代表のように言われてきたNYヤンキースは、最近は若手を自前で育てる方針に切り替えており(だから2019年は久々にリーグ優勝するほど強くなったともいえる)、2018年の年俸給総額は全体8位の1億6000万ドル(173億円)であった。

 ちなみに2019年の個人の年俸最高額はワシントン・ナショナルズのマックス・シャーザー投手で3740万ドル(40億円、1年で!)、第2位も同チームのスティーブン・ストラスバーグ投手で3642万ドル(39億円)である。

 MLBには年俸総額が一定金額(2018年は1億9700万ドル=212億円)を越えると「ぜいたく税」が課せられるが、2018年はこのボストン・レッドソックスとワシントン・ナショナルズだけが対象となった。「ぜいたく税」の大半は選手の福利厚生(主に引退後の年金)に使われる。収入が少ない球団に配分されると思われているが、そうではない。

 この2球団の成績であるが、ボストン・レッドソックスは2018年のワールドチャンピオン、ワシントン・ナショナルズは2019年のポストシーズンに進出している。MLBでは年俸総額に見合わない成績が続くと、ドラスティックに高額年俸の選手を売り払い、その見返りにマイナーリーグの有望選手を多数獲得して2~3年後に賭けることが多い。

 MLBで高騰しているのは球団の総収入や選手の年俸だけではない。球団の価値そのものも高騰している。2019年にはカンザスシティ・ロイヤルズが身売りされたが(正式にはシーズン終了後のオーナー会議の承認がいる)その金額は10億ドル(1080億円)である。

 ロイヤルズは2015年にワールドチャンピオンになっているとはいえ、その後の成績は振るわず、何よりも人口が少ない典型的なスモールマーケット球団の価格としては少し高いと感じる。旧オーナーであるグラス氏は元ウォルマートCEOで(ウォルマート本社はカンザスシティから比較的近いアーカンソー州にある。どちらも田舎州である)、2000年にロイヤルズを9600万ドルで買収していた。20年弱で10倍以上になったわけである。

 最近の球団売却例では、イチロー選手のいたマイアミ・マーリンズが2017年に元ヤンキースのジーター選手を含む投資家グループに12億ドルで売却されている。しかしこの投資家グループは資金力が十分ではなかったようで、スター選手を次々と売り払い(そのあおりでイチロー選手も放出された)、2019年シーズンも圧倒的最下位となり、球団取得の失敗例となりそうである。

 ちなみに球団売却の最高金額は、2011年に当時のオーナーの放漫経営で球団が異例の破産宣告を受け、2012年に投資家グループに売却されたLAドジャースの21億5000万ドルである。これはそれまでの最高金額であった2009年に売却されたシカゴ・カブス(これも旧オーナーのトリビューン紙が破産したため)の9億ドルの2倍以上であったが、ドジャーズはここのところ毎年ポストシーズンに進出しており、いまのところ順調のようである。

 さて、順風満帆にみえるMLBにも変調の兆しが見える。実は2018年は久々に観客動員数が4%減少して年間7000万人を切ってしまった。まあ「富豪集団」がプレーする球場に、高い入場料を支払ってまで見に行く気になれないということかもしれない。まだ未発表である2019年の観客動員数が注目される。

 それに2022年からの放映権料の契約更新がある。すでにFOXだけは7年・51億ドルで更新したようであるが、スポーツ専門の有料テレビであるESPNは割安なストリーミング配信会社に押されて契約世帯が激減しており、何よりも親会社のウォルト・ディズニーが自ら格安でネット放送に進出するため、高額契約を更新することは難しいはずである。

 もう1つのTBSも親会社のワーナーメディア自体がAT&Tに身売りしてしまったため、孫会社となるTBSも自身の運命もわからない中で、やはり高額契約の継続は難しいと思われる。
 
 新しい候補としてアマゾンとかフェイスブックなども考えられるが、そのビジネスモデルから考えて高額契約は考えられない。

 結局のところ今後のMLBのビジネスモデルも、大変革を続けるITやネット業界の動向にかかっているような気がするが、ここまでの20年以上の高成長は持続不能になっていると感じる。

2019年10月8日

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