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闇株新聞

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世界の金融市場の流れは変わったのか?

| 中央銀行・金融情勢・提言編 | 2019年8月15日 |

 昨日(8月14日)のNYダウは800ドル安と本年最大の下げ幅で25479ドルとなり、それを受けて本日(8月15日)の日経平均も249円安の20405円となった。

 NYダウはFRBの利下げ期待から値上がりを続け、FOMCの結果発表前日の7月30日にも27198ドルと史上最高値圏にとどまっていた。ところが翌7月31日のFOMCで予想通り0.25%の利下げが行われたものの、パウエル議長が「継続的な利下げの始まり」を否定したため、その日のNYダウは333ドルも値下がりしてしまった。

 さらにその翌日の8月1日にはトランプ大統領が中国からの輸入品3000億ドルに10%の追加関税をかけると発表し(第4弾、9月1日から)、株価下落に拍車をかけてしまった。今回の3000億ドルにはスマートフォン、ノートパソコン、ゲーム機、衣料品など、米国企業の業績や家計への影響が大きいことが懸念されたからである。

 さらに中国でも8月3日からの北戴河会議(ほくたいがかいぎ)で習近平が共産党長老たちと「米国とは徹底的に戦う」と合意したようで、米中通商戦争で妥協するどころか、国営企業の米国産の穀物輸入を停止し(のちに部分的に輸入していると修正)、さらに8月5日から人民元の対ドル相場を11年ぶりの1ドル=7元台に下落させてしまった。

 米国も対抗上、同じ8月5日には中国を25年ぶりに「為替操作国」に指定し、新たな経済制裁を模索している。つまり8月5日を境に米中通商戦争が「より過激により戦闘的に」なっている。

 米国政府は8月13日に第4弾の輸入対象からスマートフォンやパソコンなどの適用開始を12月15日まで延期したため(クリスマス商戦に悪影響を与えないためで、どこまで行ってもトランプは自分のことしか考えていない)一時的にNYダウも上昇したが、翌14日には冒頭に書いたように800ドル安の25479ドルとなり、直近高値の7月30日からたった半月で1719ドル(6.3%)もの下落となってしまった。

 さらに本来は米国経済の見通しを反映するといわれる米国長期金利(10年国債利回り)は8月14日には1.58%まで下落し、トランプ大統領の当選直前の水準も下回ってしまった。

 トランプは一層ヒステリックになり、FRBに対して「直ちに大幅に利下げを行うように」とプレッシャーをかけ(米国が同時多発テロに見舞われた2001年9月に時のグリーンスパン議長が臨時FOMCを電話招集し緊急利下げした前例はある)、さらに中国の人民元安政策に対抗して「ドル売り介入」まで考えたようである(これはさすがに米国政権内でも相手にされなかったようである)。

 今回の米国株式の混乱は、トランプ自身の強引な対中国通商戦争をはじめ、野放図な財政赤字拡大や、世界各地での一貫性を欠いた外交政策などが原因であるなど、つゆほども感じていないようである。これではトランプの存在そのものが世界の金融市場にとって最大の混乱要因であることになってしまう。・

 問題は、この混乱が世界とくに特に発展途上国に波及していることである。

 本来、発展途上国の経済や金融市場が混乱するケースは、米国の金利が上がりすぎて新興国から資金が米国に還流し、併せてドル高・新興国通貨安で新興国のドル建て債務が急拡大するからである。

 ところが今回はFRBがすでに利下げ政策に転じており、そのため大半の新興国に利下げ余地が出ている中で新興国通貨安・株安が加速していることである。とくに今週初めにはアルゼンチンの株式市場がたった1日で50%近く、為替も20%近く暴落してしまった。

 つまり新興国経済の混乱を止める唯一の処方箋(米国の利下げ)はすでに実施されているため、このタイミングで新興国経済がさらに混乱したならもう処方箋は残っていない(米国のさらなる追加大幅利下げも弊害のほうが大きい)。

 それに人民元安と経済不振によるユーロ安も加わって、ドルの水準はまだ中途半端に高く(これもトランプ大統領が気に入らない現象である)、唯一無為無策の円だけがさらに狙い撃ちされて円高になる恐れが残る(これは本邦機関投資家の保有外貨債権のヘッジ売りが大変に遅れていることも関係している)。
 
 世界経済は低迷しているため銅など資源価格は低迷を続けているが、ドルの代替商品とされる金価格は急上昇しており、同じく政治色の強い原油価格も上昇する可能性がある。

 それでは米国株やそれにつられる世界の株式市場はこのまま続落してしまうのか?

 世界的に投資資金が有り余っていることは間違いなく、さらに追加緩和マネーが供給されるため、このまま一方的に下落することはない。近いうちに(理由もなく)下げ止まりやや反発する局面もあるが、これは問題だらけの世界経済の中で「株式の本格調整がますます後まわしになるだけ」と考えておくべきである。これは米国株に追随する日本株についても同じである。

 それからすでに投資してはいけないものとは、新興国の全資産(為替も債権も株式も不動産も)、先進国の債券でも格付けが低く流動性が落ちるもの、REITなど不動産関連商品(不動産そのものもそろそろ要注意かも知れない。中国の安邦保険が日本の不動産を大量に処分するようである)、それに利益が上がらず期待感だけが先行している新興IT企業などである。

 最後に日本経済はどうなるのか? 先日発表された4~6月期GDP速報値は予想外の1.8%成長だったが、速報値は6月の法人統計が未発表であるため「落ち込んでいるはずの設備投資」が反映されていない。修正値ではかなり大幅の下方修正となるはずである。

 また4~6月期の企業業績もすでに予想よりかなり悪く、10月には消費増税もあるため、本年後半の日本経済も企業業績も「予想をはるかに超えて悪い」と身構えておく必要がありそうである。

2019年8月15日

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